対談⑤ Mac鈴木さん

インタビュアー

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企業勤務の傍ら、2015年12月『幸せって何?〜インタビューブログ』を開設し、これまで約50人にインタビューを敢行(*2017年4月15日現在)。「幸せにはいろいろな形がある」ことを伝えるべく、分野・世代を問わず様々な人の話に耳を傾けている。

 

 

 

 

この度久しぶりに、インタビューを受けさせていただきました。しかもテーマは「幸せ」。普段めったにインタビューを受けることが無い私にとっては、オファーをいただいた嬉しさのあまり、テーマすらも頭から飛んだまま、鈴木さんからのインタビューに臨んでしまいました(鈴木さん、大変失礼しました)。

そのお礼のつもりでさせていただいた、今回のインタビュー。鈴木さんが長年抱えておられたモヤモヤが晴れていったきっかけがインタビュー活動だったとお聞きし、私は思いをさらに強くしました。

「皆さん、ぜひ周りの人たちにインタビューをしてみてください!」

*インタビュー@大手町

 

“幸せを感じる人”ほど応じてくれる

徳橋:先ほどはインタビューをしてくださり、ありがとうございました。テーマがあまりに壮大なので、何を話せば良いのか分かりませんでしたが、「もしかしたら“これ”かな?」と思って話し始めたら、その後はスムーズに波に乗ることができました。

※当該記事:自分の活動を支えてくれる人の存在 ~ 徳橋功さんインタビュー

鈴木:ありがとうございます。確かに「幸せ」というテーマですから、答えをご用意される人もいます。でも用意されなくても全く問題ありませんし、むしろその方が本音が表れるので、僕もお話をお聞きして楽しいです。

ただしテーマの性質上、プライバシーに触れてしまう危険性があります。過去に起きたり抱いたりしたネガティブな出来事や感情についてお話されることもあるので、それらを伏せるなどの配慮はします。当たり前だとは思いますが・・・

徳橋:他にもインタビューをされる際に、気をつけられていることはありますか?

鈴木:“インタビュー”と聞くと、最初は身構える人がいらっしゃいます。だから僕は「何も考えないで、ただ僕の質問に対して直感的に頭に浮かんだことを、そのまま話していただいて結構ですよ」とお伝えしています。本当に、普通のおしゃべりを楽しむ感覚でお付き合いください、と。

興味深いのは、「自分は幸せではない」と強く思っている人で僕のインタビューに応じていただける方は少ないということです。

徳橋:なるほど!

鈴木:逆に言えば、応じてくださる人は、程度の差こそあれ、どこかで幸せを感じていたり、昔に比べて幸せだと思われている方が多い気がします。

 

質素な人々 – インタビューの原点

徳橋:そもそもなぜ鈴木さんは、インタビュー活動を始められたのでしょうか?

鈴木:それに至る原体験があります。少し時代が遡りますが、学生の時から社会人になって間もない若い頃まで、一人で海外に旅行をするのが好きでした。その時に訪れたメキシコの首都メキシコシティと、マレーシアのジョホールバルでの出来事が、僕の人生を変えました。

メキシコシティでは、東京の日比谷公園のような大きな公園があり、旅行中の日曜日に遊びに出かけました。そこにいた家族連れやカップルを見て、当時の私は衝撃を受けました。みんな笑顔で、すごく幸せそうに見えたのです。

そしてジョホールバルでも、海が一望できる場所に同じように家族連れやカップルがいました。彼らは特に何をすることもなく、長い時間ただ海を見ているだけでしたが、その時に浮かべていた笑顔が本当に幸せそうでした。

 

「そんな幸せなんて嘘だ!」

鈴木:一方、当時の日本はバブル絶頂期。徳橋さんは「三高」(さんこう)という言葉を知っていますか?

徳橋:ええ。高身長・高学歴・高収入ですね。

鈴木:そうです。そんな条件を満たした上に、さらに車 – しかも外車 – を持っている、そういう男性を女性が求める風潮や、クリスマスイブに高級レストランが予約でいっぱいになる現象がメディアで盛んに伝えられていました。一旦会社に入れば、お給料もボーナスも右肩上がりでずっと上がっていくのだと誰もが信じていた時代でした。

そんな時にメキシコやマレーシアで出会った人たち – 彼らは当時の日本人ほどお金は持っていなかったと思います。車でどこかへ遊びに行くわけでもなく、おしゃれなレストランに行くわけでもなく、自分たちで作ったお弁当やお店で買ったパンなどを広げて食べているご家族やカップルを見て、日本の人たちよりも遥かに幸せそうに見えました。

「僕がこれまで抱いてきたり、世の中に出回っていたりする価値観は、何かが違うのではないか?」と思わずにはいられませんでした。

当時の日本は”Japan As No.1”と浮かれ、「東京の地価でアメリカ全土が買える」などとメディアが喧伝し、そのすぐ後に「失われた20年」が来ることなど誰も予想していませんでした。

そんな空気に対して覚えた違和感。お金や地位、生まれた場所といった外的要因に左右されるような幸せは嫌だと思いました。仕事をしていたら幸せならば、首になったら不幸になるのだろうか?カッコいい車に乗って、可愛い女の子と付き合って、お金があればそれで幸せなのか?もしそうなら、それらは“嘘の幸せ”なのではないか?そんなものとは一切関係なく、幸せでありたい – それが僕のインタビュー活動の原点です。

学生の時よりも、社会人になってからの方が、当時の日本に対する違和感を強く感じていたかもしれません。短い休暇を取って海外に行き、幸せそうな現地の人たちに出会って、自分や自分の置かれた環境を振り返る。会社のルールに従って働いて、社内で評価を上げていくことが、果たして本当の幸せにつながるのだろうか、と・・・

 

辞めたい でも辞められない

徳橋:そのように違和感を感じられることは、一つの大きなポイントだと思います。中には全く感じない人もいると思いますから。

鈴木:そういう意味では、僕は社内でかなり異端児だったと思います。

徳橋:元々そのような思考をお持ちだったのでしょうか?

鈴木:はっきりとは分かりません。

徳橋:社会全体がイケイケだった時に、それに対して違和感を覚える人は、果たしてどれくらいいたのでしょうか。もし仮に違和感があっても「いいか、この空気に乗っかっちゃえ!」という人の方が多かったのではないでしょうか。

鈴木:でも僕自身も、一旦覚えた違和感を封印して、社会や会社が引いたレールに乗っかって生きてきました。ただやはり、違和感は依然僕の中にくすぶっていたわけです。お給料は悪くはなかったですが、昇格したいとか、大きな仕事をしたいという欲はあまりありませんでした。大企業で、一般の消費者から直接「ありがとう」と感謝されることはない。法人営業で取引先からお礼を言われることもありましたが、個人として感謝されるのとは違う感覚でした。また社内でも、自分の裁量で何かを決めることはできません。

そんな中で、医者や教師、カウンセラーなど、自分にある程度の裁量が与えられていて、個人から感謝される人たちを羨ましく思ったりしました。

だから会社を辞めようと何度も思いました。でも辞められませんでした。僕は若い時に結婚し、子供もいたので、踏ん切りをつけられなかったのです。30代半ば頃までは、会社嫌い、仕事嫌い、同僚も上司も嫌いという状況で、金曜の夜になると心が軽くなり、日曜の夜になると気持ちが沈むという日々。週末のために平日を我慢して過ごすような状態でした。

 

若い人たちを助けるために

鈴木:でも、あることがきっかけで、そのような状態から少しずつ抜け出しました。

年齢を重ね、だんだん職場に若い人たちが入ってきました。すごく一生懸命、健気に仕事をしている彼らに対し、立場的に人事面談をするようになると、一人一人の、普段の姿からは見えない側面が浮かび上がってきました。普通に仕事をしているように見えて、実は重病を抱えている。何でもないように振舞っていて、実は母子家庭で苦労してきた。仕事以外に親の介護もしていてすごく大変 – いろいろなことが分かったのです。

僕は思いました。「もし自分が嫌々仕事をしていたら、この人たちはもっと辛いだろう」と。そして僕は、職場や仕事よりも彼らのことが好きになり「もし悩んでいるなら、何とかしてあげたい」と思うようになりました。彼らのことが愛おしく思えてきたのです。

これが僕のインタビュー活動につながっていった出来事です。すぐそばにいる人との比較だけで生きている人たちに、いろんな人たちがいることを伝えたい – そんな思いがフツフツと湧いてきました。

僕自身も長らく同じ業界、同じ会社に勤めていたので、人間関係が硬直的になっており、それではいけないと感じていた頃でした。そこで、まずはいろいろな交流会に参加するなど、なるべく社外の方や、他の業界の方と会うように努めました。

そして2015年12月、満を持してインタビュー活動を開始しました。

 

様々な価値観に出会いたい

徳橋:鈴木さんにとって、インタビューの魅力はどんなところにあると思いますか?

鈴木:初対面の人や、まだ2〜3回しかお会いしていない人から、すごく深いお話がお聞きできることですね。

徳橋:至極同感です。

鈴木:それに、インタビューをしたり受けたりしたことは、お互い忘れないものだと思います。だから大げさに言うと“その人の心の琴線に触れる”瞬間が、インタビューにはあります。だから僕自身も楽しんでやっています。

しかも多くの人たちは、インタビューを受けた後に喜んでくださいます。「自分が思いもよらないことをいろいろ話せたし、自分の内面が整理できたから、すごく良かった」とか。

徳橋:それは僕もよく言われます。

鈴木:だから、インタビューは良いですね。

徳橋:本当にそうです。だから僕は“インタビューをすること”の効能を、多くの人たちにお伝えしたいのです。

鈴木:僕がインタビューを続けるのは、なるべく多くの人のお話を聞きたいからです。同じ会社にずっと勤めていると、どうしても会社のカルチャーや常識に縛られ、他の同僚と自分を比較するもの。世界から見たら、そんなのはどうでも良い話じゃないですか。でもそれは、会社の中にいるとなかなか見えないものです。

 

生き方は一つじゃない 視野を広く持とう

鈴木:だから僕は、自分の会社の人や同僚、そして同級生など子どもの頃からの知り合いにはインタビューをしていません。多分、彼らは自分とほぼ同じ考えだったり、価値観が近いと思うからです。だからなるべく、違う世代や違う仕事の人にお会いするようにしています。外国の方にもインタビューしました。僕が生きてきた世界とはかなり違う環境で生きてきた人たちにたくさん出会いました。

彼らのお話を聞き、それらをまとめることで、記事を読んで下さった人たちに「こういう生き方もあるんだ」と思っていただければと思います。僕が直接「環境に制約されない自由や幸福こそが素晴らしいんだ」と言うよりは、実際にそのように生きている人たちのインタビューをご覧いただければ、「この人も自分と同じように仕事が上手くいかなかったけど、最終的には幸せになっているんだな」とか「家庭環境が悪かったために若い頃は苦労したけど、今は幸せに生活されているんだ」と感じていただけるのではないかと思います。

若い頃に精神的に苦しんでいたという人にインタビューさせていただいたことがあります。その人は「かつての自分と同じように苦しんでいる人がいるから、そういう人を救いたい」とおっしゃっていました。そのように、ポジティブな方向へと目を向けた人は、“幸せ”について語ってくださるのです。

不遇な状況にいる人が、必ずしも全て被害者意識を持ったり不幸を感じたりしているわけではない。そういう人のインタビュー記事を読んでいただけたら、何かを感じてくださるかもしれません。

 

いろんな人たちに視野を広く持ってほしい – 僕はそれを目指しています。

 

鈴木さん関連リンク

『幸せって何?〜インタビューブログ』:ameblo.jp/shiawasettenani1/